2024年7月に発表された厚生労働省のデータによると、2023年度の男性の育児休業取得率は30.1%で、前回の調査から13.0ポイントの上昇でした。これは水準・上昇幅ともに過去最高とのことです。
しかし現状では、男性の育児休業取得はまだまだ「当たり前」とは言い難い社会。
「男性の育休って実際どうなの?」
「家庭での何をしたのか?」
「仕事への影響は?」
実際に育児休業を取得した男性Drのリアルな声をお届けできたらと思います。
家族の後押しで育休を取得
妻が妊娠して安定期に入った頃、医院にそのことを報告しました。最初は育休をとることは考えていなかったのですが、妻の希望もあって、3か月間取得することに決めました。
育休の期間については院長先生や妻と相談し、3か月が適切と判断しました。産後はホルモンバランスが乱れることや、産後の体調は1か月では戻らないこと、赤ちゃんの睡眠の生活リズムが安定するまで2~3か月かかるなどの理由からです。
ありがたいことに出産に立ち会うこともでき、息子を抱いた瞬間、世界が変わったように感じました。小さな命を授かり、人生が大きく変わったことを実感しました。そして育休に入ってすぐに、授乳やその他の世話で休む間もない妻の姿を目の当たりにして、妻が寝不足で疲れている姿を見て、申し訳ない気持ちと同時に、自分がもっとできることはないかと考えさせられました。
また、赤ちゃんの成長を2人で見守れている感じがして、それがとても嬉しかったです。子供が生まれたばかりの時期を家族で過ごせたことも良い経験でした。
家庭でのパパの役割
基本的な赤ちゃんのお世話の方針は妻がいろいろと案を練ってくれていたので、私は妻をフォローするという方向で、育休期間中の役割分担が決まりました。夫婦でシフト制で睡眠をとり育児、家事を分担しました。
極力ワンオペを避ける形で、授乳以外の対応可能な育児(おむつ交換、ミルク、寝かしつけなど)をこなしました。できる限り妻の負担を減らして、体調をしっかり回復できるように努めました。
育休に入るまで
男性社員の長期育休取得は、院内に事例がなかったため、引き継ぎ期間は長くは感じました。業務の引き継ぎは、育休に入る3か月前くらいから日常業務と並行しながら少しずつ進めました。最後はかなりバタバタになってしまって、完璧な引き継ぎができなかった、というのが正直なところです。同僚Drには迷惑をかけてしまったと思います。
患者さんからは育休取得をお伝えすると温かい声をかけていただくことが多く、本当に嬉しかったです。
復帰にあたって
復帰にあたってはそこまで「浦島太郎状態」ではなかったものの、院内の業務にいくつか変更点がありました。
そこで復帰初日にミーティングを設けてもらい、患者さんの進捗や院内の変更点、今後の担当業務などについて話し合いました。引き継いだ仕事の一部は、そのまま対応してくれたDrが担当し、他の業務にチャレンジすることになりました。昔から治療させてもらっている患者さんから、復帰後はおめでとうございますと言われ、とても嬉しかったです。
復帰後は、育児の大変さを知ったことで、早く帰って育児のサポートができるよう、定時退社を心がけるようになりました。
(一刻も早く子供の顔を見たいという気持ちも大きいですが)
育休を取得してみて、我が子が病気になり、医療機関を受診した際に不安な気持ちになりました。その経験から、子供たちが安心して治療を受けられるような、温かい雰囲気の歯科医でありたいと考えるようになりました。子供たちの口腔健康をサポートし、笑顔あふれる未来を一緒に築いていきたいです。
最後に育休を取得し、家族との時間を大切にすることの素晴らしさをあらためて実感しました。この貴重な機会を与えてくださった医院、スタッフの皆様、そして理解を示してくださった院長先生に心から感謝を申し上げます。